私は「金田一少年の事件簿」が好きです。
個性的なキャラクターと犯人の動機が他の推理漫画より理解できる点、
そしてそんな馬鹿なとツッコミたくなるトリックが素晴らしい。
この度文庫本で全巻購入しました。
文庫本は1事件1冊にまとまっている為、おすすめです。
久しぶりに読んで面白かった半面、ツッコミどころ満載だった為、
この記事を書きました。
そんな私がファイル1「オペラ座館殺人事件」~ファイル34「ゲームの館殺人事件」までの中で好きな事件ベスト5をまとめました。
※ネタバレを含みますのでご注意ください。
ベスト5. File8.首吊り学園殺人事件
[事件概要]
- 金田一が予備校に通いだした矢先、連続して首吊り事件が発生。
子守唄の流れる密室で首を吊られたニワトリ。現場に残された血文字。
地獄の子守唄の正体とは
[事件のポイント]
[好きな理由]
- まず「地獄の子守唄」というネーミングセンスが個人的に好きです。
文庫本の帯も「地獄の子守唄を聞け!」ですからね。編集部も気に入っているんだと思います。 - この事件の面白い点は、警察の推理は的外れだが、警察が怪しいと思い逮捕した犯人は真犯人であり、金田一が誤った推理で犯人を庇ってしまってからの再逮捕という流れが素晴らしい。
[ツッコミポイント]
- 犯人炙り出しテストの成功率は高いのか
犯人は何故犯人炙り出しテストであんな馬鹿なことを。。。確率的にありえないことくらい途中で気づきそうだが。
犯人が平均点を取ってきた場合、金田一がどうしたのかすごく見たかった。 - あんなに都合良く、後ろの席の奴が全問カンニングするなんて!
ベスト4. File3.雪夜叉伝説殺人事件
[事件概要]
- 北海道の山荘の撮影にドラマのエキストラとして参加した金田一。しかしそこで「雪夜叉」による連続殺人が起き、何故か推理対決が始まる。
[事件のポイント]
- 明智警視初登場
初登場の為か明智警視が非常に鼻持ちならない性格をしています。また犯人のミスリードに狙ったかのようにひっかかる。
「これが警視庁きってのエリート・・・」とツッコミたくなるほど残念なキャラでした。おそらく作者もこの頃はキャラが固まっていなかったんでしょう。
[好きな理由]
- 斬新でわかりやすくインパクトのあるトリック
殺された人物が握っていた飼い葉や村の老人が言った「鬼火を見た」という証言が見事にトリックに繋がります。また、トリックの見た目のわかりやすさがピカイチです。やはりトリックを聞いた瞬間に「ああ、そういうことか」と読者が理解できることが大切ですね。トリックでは一番好きかもしれません。 - 犯行現場のLIVE映像を多くの容疑者が視聴
白夜叉というインパクト抜群の格好をした犯人が殺人を行うところを容疑者の多くが生視聴。これにより容疑者のほとんどのアリバイが成立し、読者に「犯人はどうやって・・・」と考えさせるのが上手いと感じました。
[ツッコミポイント]
- 冷静に考えて、このトリックを一人で実現するのは限りなく不可能
私が警察なら協力者の存在を疑います。
あとこのトリックで出来た橋を車で渡るの超怖い。
ベスト3. File26.金田一少年の決死行
[事件概要]
[事件のポイント]
- 最終回に相当する事件の為オールスター出演
これでもかというほどこれまでのキャラが出てきて集大成感を出しています。 - 読者は犯人である巌窟王が12年間防空壕跡に閉じ込められている、という事実を冒頭からインプットされます。その前提からくる先入観を逆手に取った事件です。
[好きな理由]
- 高遠との決着
最終回に相当する話(実際はまだまだ続く)なので、登場人物は豪華ですし、いつも事件の最後に逃げられる高遠が金田一君の機転により警察にお縄になるのは感慨深い。
[ツッコミポイント]
- 犯人の姿に納得がいかない
明智警視が「マリー・アントワネットが投獄され、一夜にしてストレスで白髪になった」という伝説を引用し、無理やり周囲の人間と読者を納得させようとしていますが、いやその理屈はおかしい。
[事件概要]
- 作家殺害事件に巻き込まれ、真犯人の策略により殺人犯に仕立て上げられてしまう金田一。無実を証明する為、逃亡しながら身の潔白を証明する。
[事件のポイント]
- いつも探偵役の金田一が犯人扱いされ、逃亡しながら真犯人を見つけ出す、
という今までにない展開 - 初登場時が最悪な印象のいつきさんが非常に頼りになる。
金田一の登場人物は初登場時は最悪の印象で登場しなくていけないルールでもあるのでしょうか?剣持警部や明智警視やいつきさん等、人格変わりすぎ。
[好きな理由]
- 金田一の機転が利く逃亡劇と逃亡先で殺人事件が起き、周りに「こりゃ犯人だな」と思われてもしかたがない状況の中、逃亡を繰り返しつつも警察官のピンチの際には見つかること覚悟で助けてしまう金田一の主人公ぶりが好きです。
- 犯人の露骨な金田一アシスト
結構露骨なことをしているのに犯人が明らかになる前は違和感なく読んでいました。 - 犯人の見た目が変化
この事件は犯人の見た目が微妙に変わります。そんな演出も読み返すと爽快です。
[ツッコミポイント]
- 実現困難なトリック
雨で濡れた地面に足跡を残さない為、犯人が行ったトリックがドアからドアに移動するというトリックです。これを実行するには結構な体力と運動神経が必要。とても犯人が出来るとは思えない。
ただ、突発的な犯行であった為、用意周到なトリックが出来ない条件の中で導き出した手段としては素晴らしいと思います。 - 明智警視簡単に銃撃ちすぎ
金田一が死んだかのように偽装するためのお芝居の為、実際は空砲でした。
ただ、スーパーエリートとはいえ流石にすぐ銃を撃ったように見えるのはまずいでしょう。そんな演出を警察は絶対許可しません。 - 暗号解読ゲームの隠し場所と露骨に怪しい伝言
大時計の中に作家のフロッピーディスクが隠されているわけですが、この場所は普通に誰かが探しそうなものです。また、主催者が各メンバーに「訪ねてきたら〇〇に聞けばわかる」という露骨に怪しい伝言をしています。とりあえず大村さんは次の人に「俺、変な伝言されたんだけど」って聞いて回っても良かったんじゃないかな。
ベスト1. File6.悲恋湖伝説殺人事件
[事件概要]
- 金田一が美雪の従兄の代理として長野県悲恋湖に建設予定のリゾート地の会員権を賭けたツアーに参加。悲恋湖を舞台に十年前に世間を震撼させた殺人鬼「ジェイソン」によるものと酷似した連続殺人が起こる。
[事件のポイント]
- 二重で犯人ではないと思わせる演出が光る
‐圧倒的善人キャラ(に見える)。
‐既に殺された人物として容疑者から逃れる。 - いつきさん初登場事件
最高にいけ好かないキャラとして描かれています。 - とにかく「S・K」
[好きな理由]
- 「ジェイソン」という圧倒的パワーワード。
文庫本の帯も「お・・・お前はジェイソン!?」ですからね。インパクトが桁違いですよ、やっぱり。 - 犯人がジェイソンなら顔をズタズタにしていても全然おかしくないという先入観を利用した殺人。この発想は素晴らしい。
- 犯人のサイコパス的な殺人対象の選定と潔さ
犯人は恋人を死に追いやったであろうイニシャルがS・Kの人物を問答無用で殺しに回ります。ツアーに参加しなかった美雪の従弟も殺しにいくほどの執念深さです。
犯人の「螢子の命はお前達100人分の命より大事」というセリフは、とんでもない言い分なんですが、妙に納得させられるセリフでもありました。 - 「カルネアデスの板」という言葉を初めて知ったのはこの事件。
[ツッコミポイント]
- 「みなさん!ボートが帰ってきました!」
ボートには遺体しかなかったわけですが、どうやってボートを止めたんですかね・・・。 - 犯人のなりすまし遺体の靴の描写がない
顔をズタズタにし、服装を自分のものにすれば自身が殺害されたと偽装できると考えたのは良いアイデアです。腕時計については作中に指摘があったけど、靴はどうだったのか気になります。靴のサイズは結構合わないですからね。
自分の中ではこんな感じの順位です。
皆さんの中の順位とは異なっていると思いますが、それもまた金田一少年の事件簿の魅力だと思います。